借入を断られるときってどんなとき?

住宅ローンの借入を断られるとき

 

金融機関がお断りしたい相手

住宅ローンを借りるためには、金融機関の「審査」を通過しなければなりません。しかし最近は、この審査に通らない人が増えています。

 

住宅ローンを申し込んできた人に、金融機関側が融資の可否を判断する基準はどこにあるのでしょうか。全国1238の金融機関が回答した結果が左頁の表です。1~3位の健康状態、借入時年齢、完済時年齢、5・6位の勤族年数、年収は、返済が継続的に行われるかどうかを見きわめる項目です。4位・担保評価、7位・連帯保証は、万が一ローンの返済が不可能になった場合のリスクヘッジとして重視されるものです。9位の金融機関の営業エリアは、地方銀行や信用金庫に多く見られる傾向で、住宅ローンの利用者を地域の居住者や物件に限定していることから判断の対象となります。

 

ほかに債務がある人・延滞履歴がある人

筆者の経験上、融資を断られる人の8割以上は、ほかの債務の状況や返済履歴に問題があった人です。カードローン、フリーローン、キャッシング、消費者金融などから借入れの合計額が年収の3分の1以上あると、そもそも審査の土俵にすらあげてもらえません。また、借入金やクレジットカードの支払などが2~3ヶ月以上遅れた、1年以内に延滞をしている、延滞階数が通算で5回を超えているなども断られる可能性がが高くなる要因です。3ヶ月以上の延滞経験があると、その後で完済していても5年間は借入を断られます。さらに、延滞を解消できずに代位弁済、任意整理、民事再生、自己破産などの手続きが取られた場合は、その後5~10年間は住宅ローンの借入れができなくなります。本人に問題がなくても、まれに連帯責務の相手が引っかかるケースもありますので、事前に確認をお勧めします。

 

ネットバンクで借りても大丈夫?

近年、インターネット上で取引を行うネットバンクが増えています。低年金利の住宅ローンを用意している会社も多いため、借入れ先としては気になるところでしょう。ネットバンクは、実店舗をもたない最小限しかもたないため、業務の運営にかかるコストが大幅に圧縮されます。そのため、金利が低く抑えれたり、保証料や繰上げ返済手数料などの諸費用が安く抑えられるというメリットがあります。貯金通帳が発行されないことや、一部のクレジットカードには対応していないことなどがデメリットかもしれませんが、それ以外の点では一般の金融機関と何ら変わるところはありません。

 

ネットバンクが倒産したらどうなる?

老舗の金融機関がもつ長い歴史や実店舗数と、健全な経営とはまったく関係がありません。メガバンクでもネットバンクでも、安定収益が確保できているか重要です。もちろん、金融機関も一民間企業ですから、経営破綻のリスクは当然あります。ただし、これまで金融機関の破綻でペイオフが発動されたのは、2010年の日本振興銀行の1事例のみです。それ以外は経営が悪化すると、ほかの金融機関に営業譲渡されたり、吸収合併されてきました。このとき、住宅ローンの返済がどうなるかといえば、取引き先の金融機関が変更になるだけで、借入残高の全額返済をいきなり求められるようなことは、まずありませんでした。ただし、その住宅ローンが全期間固定金利以外なら、移譲先の条件び合わせて金利が変更される可能性はあります。

 

なお、金融機関が経営葉破綻してペイオフとなった場合、保護される貯金は1000万円+利息までです。経済系の雑誌などで金融機関の評価ぐらいはチェックしておいてもいいかもしれません。

 

ネットバンクは"普通の銀行"がオンライン上にあるだけ
店舗はなくても会社はリアルにあるのでご安心を。契約から融資実行の手続きまでをウェブ上で済ませられる会社もあります。各種優遇が充実している会社も多いので、検討の価値は十分あります。

 

ネットバンクの経営の安定度を調べるには?

下表は住宅ローンを扱う主なネットバンクの2019年のディスクロージャ―とは、企業が財務諸表や有価証券報告書などで財務内容の情報を投資家などに公開することをいいます。証券取引法および商法により投資家や債権者を保護するために義務付けられているもので、健全な経営を確認するうえで欠かせない資料です。

 

なぜなら、借り換えや買い替えをするために途中でローンを一括返済した場合、保証料は残り期間分の「戻し保証料」を受け取ることができるからです。都市銀行では、3000万円の借入(35年元利均等返済)をしたときに一括で払う保証料は約62万円ですが、10年後に完済すると約22万円もどってきます。

 

さらに、繰り上げ返済をしたときももどってきます。繰り上げ返済するタイミングや金額によって異なりますが、10万円程度の返済でも数千円のもどしがあるケースもあります。いうまでもありませんが、事務手数料は途中で完済したところで、一部返金されるようなことはありません。

 

 

 

具体的な数字で考える

金利の数字だけを見ると、お得な変動金利を軸に検討を進めたくなりますが、ここはいったん落ち着いて考えていきましょう。根拠のある数字から、納得できる結果を導き出すのです。

 

 

無理のない借入額は5秒で分かる

まずは、最後まで金利の変わらない全期間固定金利で検討してみます。ここでは、住宅金融支援機構のホームページ上で提供されている「フラット35」の2つのシミュレーターを使用しましょう。

 

そうすれば、バカでもアホでも簡単に借入金額はわかります。

 

 

「商品概要書」が重要になる

あなたにとって好ましく思われる住宅ローン商品が何点か見つかったら、そのローンの資料を手に入れます。金融機関に直接足を運んでもいいですし、電話やインターネットで取り寄せることもできます。資料が手に入ったら二商品概要卉」に目を通してください。そこには、融資を受けるために必要な重要事項、すなわち「制約条件」が書かれています。この条件をすべてクリアできなければ、その住宅を利用することはできません。このプロセスを飛ばして、いきなり融資の申し込みをして、あとがら制約条件を満たしていないことが分
かっても、あとの祭りです。

 

金融機関の広告には、「いまなら金利優遇!」の文字がいつも躍っていますが、それが自分にも適用されるかどうかは、読めるか読めないか程度の小さな文字で書かれている制約条件をチェックするまでは分かりません。制約条件のなかでも、「つなぎ融資を併用できるか」「士地は借地でもよいか」「優遇はいつまでに着工される住宅に対してなのか」などは重要なポイントです。

 

いちいち制約条件をチェックするのは面倒という人は、38頁のコラムで紹介しているように、金融機関のコールセンターに電話して直接聞いてみるというのも一つの方法です。

 

 

提携ローンも気にかけておく

まわりの住宅購入経験者から「安い提携ローンを利用した」という話を聞いたことがありませんか? 提携ローンとは、住宅関連会社と特定の金融機関が提携し、特別な条件が盛り込まれたローンのことです。審査が早い、金利が安い、手続きがスムーズといった利点があります。過去においては最安金利とほぼ同義でしたが、現在は、ほかにもより安いローン商品が増えています。